FEATURE
腹腔鏡手術でできること
特色02
腹腔鏡 手術でできること
伊藤動物病院は腹腔鏡(おなかの中を観察する内視鏡)による手術や検査に対応しています
腹腔鏡手術とは?
腹腔鏡手術とは、おなかの皮膚に小さな孔を3箇所程度開け、トロッカーと呼ばれる筒状の器具を挿入、その中にチューブを通してLED光源、カメラ、二酸化炭素ガス、鉗子や止血のための器具などを腹腔内に到達させ、テレビモニターに映し出された拡大画像を観ながら行う手術です。
腹腔鏡手術は、従来の開腹手術に比べて①傷が小さく、②痛みも少なく、③術後の回復も早いという特徴があります。体への負担を抑えられる低侵襲な手術法であることから、“動物にやさしい手術”として獣医療界でも導入されるようになりました。
腹腔鏡による避妊手術のイメージ
おなかに開けた3(2〜4)カ所の孔から器具を挿し込み手術する腹腔鏡手術。体格が大きくなればなるほど開腹手術との見た目(手術痕)の違いが顕著になります。
傷口の比較
従来手術での傷口が10~15cmであるのに対して腹腔鏡手術では1cm以下の傷口が3つです。
腹腔鏡手術
開腹手術
腹腔鏡手術のメリット
  • メリット①
    傷が小さい
    トロッカーを挿入するための孔を開けるだけで済むので切開口は1cm以下です。
  • メリット②
    痛みが少ない
    組織への侵襲ダメージが少ないので痛みも少なくて済みます。
  • メリット③
    回復が早い
    ①と②の理由から術後の回復そのものが開腹手術と比べて早いため、入院しない日帰り手術も可能です。
そのほかにもこんなメリットがあります
  • 拡大画像(映像)で鮮明に観察できるのでより安全確実に手術を遂行できます
  • ほかの腹部臓器も観察できるので同時並行で他の検査も可能(例:避妊手術と肝臓生検など)
  • 開腹手術のように内臓が空気に直接触れることがないので癒着等のリスクがありません
  • 開腹手術のように臓器を体外に引き出す必要がないので靭帯が伸びることによる痛みなどが生じません
腹腔鏡手術のデメリット
  • デメリット①
    習熟した技術が
    求められる
    特殊な器具の扱いや操作技術など、従来の手技とは全く異なる高度な技術の修得が必須です。
  • デメリット②
    手術時間が
    延長になる場合がある
    個体ごとの腹腔内の状況と操作性の兼ね合いで開腹手術に比べて手術時間が長くなることがあります。
  • デメリット③
    手術時間の延長に応じた
    麻酔管理が求められる
    全身麻酔下での安全性を確保するためにより綿密なモニタリングと麻酔管理が重要になります。
そのほかにもこんなデメリットがあります
  • 適応か否かを判断するためにより詳細な術前検査が必要になります
  • 従来手術に比べて費用が高額になります
  • 手術中に不測の事態が生じた場合は開腹手術に切り替える可能性があります
腹腔鏡でできる手術・検査
手 術
  • 避妊手術(卵巣子宮摘出術)
  • 腹腔内陰睾摘出術
  • 膀胱結石摘出術 ほか
検 査
  • 腹腔内腫瘤の確認
  • 肝臓・腎臓・脾臓・膵臓の生検
  • 泌尿生殖器の生検 ほか
ワンちゃんネコちゃんの体にやさしい
腹腔鏡による避妊手術
手術の流れ
  • 01
    全身麻酔下でおなかの毛刈りをおこない、器具を挿入するための孔を3カ所開けます。
  • 02
    トロッカーを設置し、二酸化炭素ガスでおなかをドーム状にふくらませ、カメラや鉗子を挿入していきます。
  • 03
    拡大画像を見ながら、おなかの中で卵巣と子宮を切除していきます。
    切除と止血が同時にできるので体内での縫合は必要ありません。
  • 04
    処理した卵巣と子宮を引き出し、トロッカーを抜いた孔を1~2針縫合して終了です。
  • 05
    入院せず、その日のうちに帰宅していただけます。
  • 06
    1週間後に来院していただき、抜糸します。